坂出への感謝の気持ちと
エンジニア魂が
塩田をオリーブ油田に変えた
瀬戸内オリーブ園
文政12年(1829年) 久米栄左衛門が
『入り浜式塩田』を完成させた坂出は、
広大な塩田と豊富な日照と乾燥した空気が育む、塩業で栄えた瀬戸内の町
その後、製塩技術の革新により、
塩田は徐々に役割を終え
埋め立てられ、工業用地や住宅地などに
姿を変えていった
瀬戸内園オリーブの6.2ha
(3,000本のオリーブの林)の海に面する土地も
昭和34年に塩田は火を消し、
荒れ地となっていた塩田跡地
それが、工場でもなく、住宅でもなく、
太陽光発電所でもなく、
半世紀もの年月を経て、
オリーブ油田となって復活!
塩田がオリーブ油田 共に、太陽の恵みの賜物だ!
2011年
香川県のオリーブ産業支援事業が始まる
香川県は日本各地でオリーブ栽培が始まった事に危機感を感じ、県内オリーブ産業の振興と競争力強化策に乗り出した。
これまで様々な用途での引き合いがあっても、断り続けてきた塩田跡の遊休地。この事業がきっかけとなり半世紀以上の眠りから醒めることになった。
全ての土地をオリーブ栽培にかける!こうして6.2haの塩田跡地はオリーブ油田へ生まれ変わることとなった。
同じ田でも塩とオリーブでは
天と地ほどの違いが
塩田跡地は水はけが悪く、塩分濃度も高く、日照時間が長い以外はオリーブの栽培に不適な土地だ。
そこで、6.2haの土地は造成と土壌入替、さらに給排水設備を導入し、圃場として生まれ変わるプロジェクトが2011年にスタートした。
当初、大規模な圃場整備に陣頭指揮を取ったのが、当時の東京理科大学名誉教授(土木工学の権威)の大林成行氏。
大林氏はオリーブ園の造成整備の陣頭指揮に立ち、さらには、植樹計画から育成管理の省力化などにも取組み、短期間で瀬戸内オリーブの骨格を完成させた創業立役者だ。
この圃場整備で深井戸の掘削を大林から相談されたのが、代表の蓮井平記。大林氏の『人々の健康に貢献したい』という熱意に共感し、自らが社長を勤めていた会社を息子に譲り、瀬戸内オリーブ園の圃場管理からオイルなどの製造メカを開発改良する大黒柱となる。
71歳の蓮井平記のエンジニア魂が瀬戸内オリーブ園の進化を支える
広大な圃場の水管理
オリーブは乾燥に強いように思われているが、実は水はけが良い土壌が好きなだけで、実際には水を欲する植物だ。瀬戸内オリーブ園の圃場の目の前は海、そして広大だから、清らかな水を欲する3,000本のオリーブに、十分な水を与えるのは、実に大変なことである。
蓮井は深い井戸を掘り、圃場を区分けして水路を作り、さらに園内のオリーブの根元に点滴チュープを張り巡らした。雨の少ない季節はコンピューター管理で水の供給もできるようにしている。
オリーブオイル生産コストの約半分を占める、搾油・ろ過・瓶詰工程の改良
イタリアから輸入した搾油機は蓮井の手で改造が加えられている。
オリーブオイルは唯一、果肉を練ることで油分を抽出する油だが、イタリアの機械には窓がないので、機械の中でオリーブの果肉がどんな状態かを見る事ができない。機械を開ければ見る事ができるが、それでは安全装置が働いて、機械は止まってしまう。当然、果肉の酸化が進み、オイルも酸化する。
そこで、蓮井は小窓を自分で作って練り状態を外から見えるようにした。
また、イタリア製モーターは不安定で、制御がいい加減になるので、動力系統も全て自ら設計して、入れ替えを行った。
さらに、オリーブオイル濾過(ろか)工程は改良というより、まさにゼロベースで自動化システムを作りあげ、瓶詰までを含め、収穫から12時間以内という、驚異的な生産性を実現する目処も立った。
高齢化と人口減少の波は香川県坂出でも激しさを増している。今後、高齢化と人口減少が進むことはあっても、改善することは、ほぼ無いと考えないとならない。
そのため、少ない労働力、あるいは体力が弱い高齢者で、圃場や生産工程をマネージメントすることが、ビジネスとしての成功の鍵を握る。
その意味で蓮井のエンジニア魂が生み出す、メカと創意工夫は非常に重要な役割を担っている。
右上からオリーブの実を投入。粉砕後に練ることでしたからオイルが滴り落ちる
この機械は自動洗浄機。オリーブの汚れを落とす
濾過の自動工程は蓮井の自信作
絞りたては実に香り高いオイル
環境への配慮!
土壌改良、農薬の削減
循環型農業へのこだわり
瀬戸内オリーブ園の圃場には牡蠣殻が敷き詰められている。弱アルカリ性の土壌を好むオリーブのためだ。また、マリーゴールドの害虫駆除効果を期待してオリーブの根元に植えてもいる。
いずれも試験的な試みであるが、全てはオリーブにも、オリーブ園で働く人間にも優しい環境作りのためだ。
一粒たりとも園の外には
廃棄物を出さない!
毎年、オリーブの剪定と圃場の除草と防風林の剪定で、大量の枝や葉が生じるが、それらをチップにした後、搾油粕と合わせて堆肥化して、翌年の肥料として利用している。
また、オリーブの葉を乾燥粉末化して、オリーブハマチの餌にすることも、蓮井の仕事だ。さらに、オイルの搾油粕をオリーブ豚の餌として利用する乾燥設備も開発した。
こうした資源利用のエンジニアリングは、全て蓮井の手で進められている。
実際、2016年はオリーブの葉の粉末2.5トン、乾燥搾油粕を4.5トン、香川県が推奨するオリーブブランドの商品増産に貢献した。
オリーブは捨てるところがない農産物と言っても過言ではないが、それには蓮井の存在が欠かせない。
最高の手摘みグリーンオリーブから、僅かに搾れる
珠玉のオイル
10月上旬から、オリーブの実の収穫は始まる。その頃の緑のオリーブの実の搾油率は僅かに1%。1本(120ml)のオイルに必要な実は何と12kgにもなる。
大人1人が手摘み収穫できる量は、1日30〜40kg(12kgの収穫には3時間かかる)
それだけ貴重なオイルは、猛烈に辛くフルーティーで香り高く、まさに緑のオリーブのエッセンスと呼べる逸品!
このレベルになると、毎日スプーンで飲みたくなるオリーブの命の恵みだ。
人類史上最初にオリーブを利用したのは、古代メソポタミア文明だったと言われている。当時のオリーブオイルは人々にとって最高の食品であり、薬のような存在だったと想像されている。
まさに、この緑のオイルの存在感はそのレベルと言えるだろう。
蓮井のエンジニア魂が生み出す現場力が瀬戸内オリーブ園の未来を一歩一歩造りつつあるのは、実に素晴らしいことであり、塩田が油田にという坂出らしい未来でもある。
㈱食文化 代表 萩原章史
お届け日の指定が可能です
初摘み・粗ろ過 『EXVオリーブオイル(ミッション)』 2023年度 香川県産 150ml 瀬戸内オリーブ園 ※常温
5,300円(税込)
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